はじめに

本記事は一般的な情報提供を目的としており、法律相談・税務相談の代替となるものではありません。個別の相続問題については、弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご相談ください。

法定相続人とは誰か

相続が発生したとき、遺産を受け取る権利を持つ人を「相続人」といいます。民法では、法律で定められた相続人(法定相続人)の範囲と、各人が受け取る割合(法定相続分)が決まっています。

法定相続人は、大きく「配偶者」と「血族相続人」に分かれます。配偶者は常に相続人となります。血族相続人は次の順序で決まります。

  1. 第1順位:子供(子が死亡している場合は孫)
  2. 第2順位:父母・祖父母(第1順位がいない場合)
  3. 第3順位:兄弟姉妹(第1・第2順位がいない場合)

子供がいない場合、配偶者と父母が相続人になります。子も父母もいない場合は、配偶者と兄弟姉妹が相続人になります。

法定相続分

遺言書がない場合、法定相続分の割合に従って遺産を分けることが基本となります。主なケースは以下の通りです。

  • 配偶者と子供が相続する場合:配偶者1/2、子供(全員合わせて)1/2
  • 配偶者と父母が相続する場合:配偶者2/3、父母(全員合わせて)1/3
  • 配偶者と兄弟姉妹が相続する場合:配偶者3/4、兄弟姉妹(全員合わせて)1/4

ただし、これはあくまで「話し合いがまとまらない場合の基準」です。全員の同意があれば、法定相続分と異なる割合で分割することもできます。

遺言書の種類と効力

遺言書があれば、原則として法定相続分よりも遺言の内容が優先されます。代表的な遺言書の種類は以下の2つです。

自筆証書遺言

全文・日付・氏名を自分で手書きし、押印したもの。費用がかからず手軽ですが、形式不備で無効になるリスクがあります。2019年以降、財産目録部分はパソコン作成も可能になりました。2020年7月から「法務局での保管制度」が始まり、紛失や偽造のリスクを減らせるようになっています。

公正証書遺言

公証役場で公証人が作成するもの。費用がかかりますが、形式不備による無効のリスクがなく、家庭裁判所での検認(相続開始後の確認手続き)も不要です。最も確実な遺言書の形式です。

財産目録の作り方

相続手続きをスムーズに進めるために、生前から「財産目録」を作成しておくことをおすすめします。財産目録とは、自分が所有するすべての資産と負債を一覧化したものです。

記載する主な項目は以下の通りです。

  • プラスの財産:預貯金(銀行名・支店名・口座種別・口座番号)、不動産(所在地・登記情報)、有価証券(証券会社名・口座番号)、生命保険(保険会社・証券番号・受取人)、その他(貴金属・骨董品・高価品)
  • マイナスの財産:住宅ローン(残債・金融機関名)、カードローン・借入金、連帯保証債務

財産目録は完璧を目指さず、まず「口座と保険の一覧」だけ作ることから始めるのが続けやすい方法です。

相続手続きの流れ(概要)

相続が発生してから手続きが完了するまでの大まかな流れは以下の通りです。期限があるものがあるため、早めに専門家に相談することをおすすめします。

  1. 死亡届の提出(7日以内)
  2. 遺言書の確認(自筆証書遺言は家庭裁判所での検認が必要)
  3. 相続人の確定(戸籍謄本の収集)
  4. 相続財産の調査・財産目録の作成
  5. 相続放棄・限定承認の検討(3か月以内)
  6. 準確定申告(4か月以内:被相続人の所得税申告)
  7. 遺産分割協議(相続人全員で協議、遺産分割協議書を作成)
  8. 相続税の申告・納付(10か月以内)
  9. 相続登記・名義変更

生前にできる相続対策

相続で家族が困らないようにするために、生前にできる準備があります。①財産目録と重要書類の場所をエンディングノートにまとめる、②遺言書を作成する(特に法定相続人が複数いる場合)、③保険の受取人が最新の状態か確認する——この3点が特に重要です。

のこすAIを使ってエンディングノートを作成しておくと、財産の概要・緊急連絡先・重要書類の保管場所を体系的にまとめることができます。遺言書の代わりにはなりませんが、家族が相続手続きに取り掛かる際の大きな手助けになります。